出展作家さんへのインタビューリポート |
〈kabanne(カバンネ)〉って、かわいい響き。
屋号の由来をうかがうと、〈かばん〉+会話でよく使う「〇〇ね~」の〈ね〉なのだとか。
そんなkabanneの久田夏子さんは、抜染という手法を用いた手描き模様の帆布かばんを制作されています。
抜染とは、生地に模様を描き、熱や日光の力を借りてその模様どおりに色を抜く方法。
「画用紙に絵を描くように筆で模様を描いています」と久田さん。
どこかあいまいな優しい色あいにぬくもりを感じます。
それに合わせるように、生地の継ぎ目もゆるやかにつながるように縫っているのだそう。
久田さんはもともとアパレルのパタンナーとして働いていましたが、
子育てをしながらできる仕事をと、小物やかばんを作り始めて20年。
「かばんは毎日使うものだから、軽くて丈夫で、持っていて楽しくなるもの、
さらに、置いている時も雑貨のように楽しめるものを」と、細部にまで気を配り制作しています。
ひめじアーティストフェスティバルへの出展は5年ぶりという久田さん。
「イベントではお客さんと直接お話できるからいいですね
。長く使ってほしいから、持ちごこちや中にモノを入れた時の感じなど、
いろいろお伝えして試してもらっています」と、訪れるお客さんに丁寧に作品の説明をされていました。
迷った末に黄色のかばんを購入された女性は、「SNSで見て気になっていて。やっと目的達成できました!」。
そのご機嫌な様子から、このかばんを愛用されている姿が目に浮かびます。
「『昔買ったかばんをまだ現役で使っている』というお声を聞くと嬉しいです。
使い古したらジャガイモなどの野菜入れとして使ってくれる人もいるんですよ」と久田さん。
汚れても洗え、使うほどに風合いが増す帆布かばん。
作り手の願いが込められた世界に一つのかばんなら、なおのこと大切に使いたくなりますね。
「これからも変わらず、かばん作りを長く続けたいです」と話す久田さんの穏やかな笑顔が印象的でした。